ZEHは意味ない?後悔しないための対策を紹介

公開日:2024/10/11
後悔しない

新築で家を建てるときや改築を検討するときに、「ZEH」という言葉をよく耳にするようになりました。環境にやさしく、省エネにつながるとうたわれているZEHですが、ウェブ上には「意味がない」「ZEHにして、理想の間取りやデザインにならなかったので後悔している」という声も見受けられます。

今回は、ZEHを導入するメリットやデメリット、また導入にあたって後悔しないためのポイントをまとめました。

「ZEH」とは?

「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」とは、消費するエネルギー量と、発電するエネルギー量が同じように設計された住宅のことです。発電のエネルギーと、住宅で使う1次エネルギー(電気に変換される前の石炭や天然ガスなどのエネルギー資源)の年間消費量が同じになるので、消費エネルギーがおおむねゼロになります。

経済産業省は、ZEHの普及を目指してさまざまな政策を実施しています。2020年の調査結果によると、ハウスメーカーが新築する注文戸建住宅の約56%が、ZEHを導入した建物でした。さらに政府は、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という目標の達成に向けて、ZEHの普及に向けた取り組みを進めています。

このように政府が主導して普及を進めており、世界的に環境問題への対処や脱炭素社会の実現に取り組む中、日本でも今後、ZEHはさらに増加していく見通しとなっています

「ZEH」とはどんな住宅なのか?

「ZEHを導入した住宅」といえるための、主な要件は3つあります。

①建物の「外皮」と呼ばれる、屋根、天井、壁、開口部、床、土間床、基礎などの部分の断熱性能が、基準以上であること。

②消費するエネルギー量が、省エネ基準から20%以上削減されていること。

③再生可能エネルギーを活用し、消費するエネルギー量を100%削減していること。

この3つの要件をクリアすることが、ZEH住宅と認定される条件です。基準を満たした住宅には、国が実施している補助事業による補助金を利用できます。新築や改築リフォームをする際には、要件に適合した住宅となるか、建設事業者に確認しましょう。

「ZEH」を導入するメリット

では、ZEHを導入すると得られるメリットはどのようなものでしょうか。具体的なメリットは以下の4つです。

光熱費の削減と、売電収入による経済性

ZEH住宅は太陽光エネルギーを利用し、省エネ性能が高いため、光熱費の大幅な削減が期待できます。また、電気料金は、発電所の燃料となっている石油や天然ガスの価格の高騰に影響されて値上がりすることがありますが、ZEH住宅はそもそもの電気の使用量を抑えているので、通常の住宅に比べると、電力の値上げの影響は少なくなります。

また、太陽光発電によりつくられた電力を売却する「売電」により、売却分の収入を得られます。「余剰電力売電」といい、自宅の太陽光発電システムで発電した電力のうち、自家消費せずに余った電力を、電力会社に買い取ってもらえる制度です。

設置する設備で、どれくらいの発電が可能なのか、また、余剰する電力はどのくらいになるのかもを建築の段階で検証しておき、費用対効果の見通しを立てておきましょう。

室温が一定に保たれる

断熱性能の高さは、ZEH住宅の特徴のひとつです。室内で過ごす間、室温が外気温の影響を受けにくいので、暖冷房の負荷を少なくしていても、室温を一定に保てます。

また、ZEHにより断熱性能が優れた住宅は家の中の温度差が小さくなり、結露やカビの発生を抑えられるうえに掃除の手間を減らせるというメリットもあります

そして、家の中の温度差が減少すると、廊下は寒いが浴室は暑いというような、室温の差による体への負担が小さくなるため、健康で快適に過ごせるという研究成果が出ています。

寒暖差により血圧が急激に変化し、命の危険もある「ヒートショック」などの急激な体調悪化を防げるので、ZEHによる断熱効果は、高齢者の健康維持にも効果的といえます。

環境への配慮に貢献

ZEH住宅は、住宅の断熱性を高めることで、空調や給湯、照明で使用される消費エネルギーを抑え、さらに太陽光などの再生可能エネルギーを活用して、その建物で消費するエネルギーをおおむねゼロにするため、環境に配慮した住宅といえます。

地球温暖化が進み、脱炭素や環境配慮が求められる現代ですが、ZEH住宅は現状の時代に即した住宅のありかたを実現しています。ZEH住宅を導入することで、環境への配慮に貢献できます。

非常用電源として利用可能

太陽光発電システムでエネルギーをつくりだすので、地震などの災害時に停電が発生しても安心です。建築の際に合わせて蓄電池を設置しておくと、非常用電力として役立てることが可能です。

災害の多い日本では、非常時への備えが大切です。有事の際に、電力の心配が不要になることは大きなメリットのひとつです。

「ZEH」を導入するデメリット

環境に配慮され、経済性でもメリットの多いZEHですが、導入に際してのデメリットも見ていきましょう。

初期費用やメンテナンス費用がかさむ

ZEHを導入するにあたっては、建設の際に高性能な断熱材や、太陽光発電設備、蓄電池といった省エネ設備や創エネ設備を設置する必要があります。ZEHではない住宅に比べると、設備導入費が高くなるというデメリットがあります。

また、太陽光設備は、1度設置すればそれで終わりというのではなく、数年に1度のメンテナンスが必要です。

太陽光パネルの清掃や点検、蓄電池の交換は、定期的に行わなければいけません。
住宅用太陽光設備の場合、頻度の目安は4年に1回で、清掃費用が3万〜5万円、点検費用は1万円前後の費用が発生します。初期費用だけでなく、メンテナンスにかかる費用も考慮しておく必要があります。

しかしながら、入居後の光熱費が抑えられるので、ランニングコストはZEHではない住宅に比べると安くなります。また、国の補助金や、自治体によっては国とは別に補助金制度を設けているところもありますので、効果的に活用するといいでしょう。

理想の間取りやデザインにならない場合がある

開放的な窓や吹き抜け、広々としたリビングなどは、高い断熱性を実現させるためには不向きな構造です。ZEHを導入すると、「吹き抜けのリビングをつくりたい」といった、思い描いていた理想の間取りや家のデザインが実現できないということがあります。

また、十分な発電量を確保するために必要な太陽光パネルを設置するためには、ある程度まとまった屋根面積も必要です。屋根の小さい家を建てたいという要望がかなわないということも考えられます。こういった設備の構造上の制限により、外観にも内観にも影響が出るといったデメリットもあります。

理想の間取りがある場合は、ZEHの建設実績が豊富で、プランやデザインのレパートリーが豊富な建築会社を選び、納得のいく内容になるかを、しっかりと相談するようにしましょう。

まとめ

今回はZEHの導入にあたり、後悔しないための対策を紹介しました。ZEHの導入には、初期費用がかさんだり、理想の間取りやデザインにならない場合があるというデメリットはあるものの、補助金制度を活用したり、ZEHの建設実績が豊富で、プランやデザインのレパートリーが豊富な建築会社へ相談することで、デメリットを軽減したり、解消することは可能です。

要望を伝え、納得のできる住宅づくりを考えてくれる建設会社を見極める、という対策を取れば、理想の建築とZEH性能を両立できる可能性が高まります。施工実績が豊富なハウスメーカーでは、ZEH基準のショールームやモデルハウスを用意しています。高い断熱性能やZEHならではの快適さを体感するためにも、ショールームやモデルハウスに足を運び、自分の目でチェックしてみましょう。

省エネや経済性などでメリットも多いZEHですが、住宅は一度建設すると簡単に建てなおすことが困難なため、後悔のないよう、よく検討して選択しましょう。

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