住宅は一生に一度の買い物であるため、どうしても高額になってしまいます。コストを考えるならば比較的割安で建築できる建売住宅にする方法がありますが、せっかくなら自分の考えをできるだけ反映させられる注文住宅にしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。今回は岡山県の注文住宅の相場について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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全国の注文住宅の平均購入費用
国土交通省が発表した「令和4年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、全国の注文住宅新築世帯の平均購入額は5,436万円でした。新築注文住宅を購入した世帯のうち83.2%は住宅ローンを利用しています。平均的な返済期間は住宅本体で32.8年、土地で34.5年といずれも30年を超える長期ローンで注文住宅を購入しています。
住宅の建築費
注文住宅の建築費を考える目安となるのは坪単価です。1坪当たりどのくらいの費用がかかるかをあらわしたのが坪単価ですが、建築資材や工賃の設定、使用する材料の違いなどによりハウスメーカーごとでまちまちなのが実情です。
SUUMOが国土交通省が発表している「2022年度建築着工統計調査」から割り出した坪単価の全国平均は約68.4万円でした。平均的な戸建て住宅の坪単価とされる40坪を基準に考えると、全国平均の住宅建築費は2,736万円となります。同調査の岡山県の平均も全国平均と同じであるため、同程度の建築費がかかるとみなせます。
木造住宅か鉄筋住宅かによっても建築費に差が出ます。鉄筋の住宅にした場合、木造住宅のおよそ1.5倍〜2倍程度の差額となることもあります。住宅コストを少しでも抑えるなら、木造住宅の方がよいでしょう。
建築費や土地代以外に必要な費用
注文住宅を建てる際、住宅本体の建築費と土地代金以外にどのような費用が発生するのでしょうか。最初に考えなければならないのは付帯工事費です。購入した土地の地盤を調査した結果、地盤改良や基礎補強の工事が必要となるかもしれません。工事の種類にもよりますが、概ね100〜300万円の土地改良費がかかります。
ガス管や給排水管の工事費、外構の工事費、空調や照明の工事費、土地の状態によっては古い建物の解体費用が必要となるかもしれません。工事以外にも確認申請費用や印紙税、登記費用、不動産取得税、住宅ローンの関連費用などの諸経費が必要となります。
付帯工事費がどの程度必要になるかは契約の内容によって異なり、業者によっては本体工事に含んでいることもあるので一概に言えません。契約書にサインする前に付帯工事費や諸経費についてもしっかり目を通しておくことをおすすめします。
岡山県の土地相場
土地の価格は地域によって大きく異なります。岡山県で土地の坪単価が最も高いのは県庁所在地の岡山市です。岡山市は北区・中区・東区・南区の4区で構成されていますが、南区や西区、北区の中心市街地部分などは坪単価21〜23万円程度です。同じ岡山市でも中心部から少し外れた東区は坪単価13万円程度と割安です。
岡山市に次いで坪単価が高いのは倉敷市です。倉敷市は岡山市の市街地とほぼ連続していて、岡山県経済の中心となっている地域です。倉敷市は瀬戸内工業地域の中核都市であり、水島地区の石油化学コンビナートを中心とする工業都市として発展してきました。倉敷市の平均坪単価は約16万円で岡山市東区よりもやや高くなっています。
岡山市や倉敷市に接する総社市の坪単価は約13万円、岡山市と倉敷市に挟まれた都窪郡早島町は約22万円と県経済の中心である岡山市や倉敷市に近い地域の地価が高いとわかります。
岡山市中区で注文住宅を建てる際の費用を計算してみよう
岡山市中区で注文住宅を建てた際のコストを計算してみます。土地の面積は80坪、建蔽率(建物を建ててよい面積)50%、建築面積40坪の土地に住宅を建てるとして計算します。
中区の地価が坪あたり22万円だとすると、地価は80×22=1,760万円となります。次に建物の建築費用を計算します。建物面積が40坪であれば40×68.4=2,736万円となります。土地代と建築費を合算すると4,496万円となります。
これに付帯工事費や諸経費を追加すると国土交通省が発表した全国平均である5,436万円に近い金額になると推定できます。
注文住宅にかかるコストを抑える方法
住宅は一生に一度の買い物といっても、できる限りコストを抑えたいと考えるのが一般的ではないでしょうか。注文住宅であってもコストを抑える方法がありますので、いくつか紹介します。
最初に検討するのは建物の外観デザインをシンプルにすることです。最もコストを削減できるのは凹凸や柱が少ない総二階の住宅です。外観デザインが正方形や長方形などのシンプルな形にすることでコストを下げられます。総二階の住宅は耐震性に優れているという長所もあるため、外観にこだわりがない方は積極的に検討するとよいでしょう。
間取りを見直すのもコストダウンの方法の一つです。住宅内の間取りが複雑であれば、それだけコストが増加してしまいます。具体的には部屋数を絞って数を減らすことや畳を使用しない洋室のみにすること、玄関ホールを作らないこと、窓の数を減らすことなどがあげられます。
階段を玄関ホールに作らずリビングに作ることでもコストカットが可能です。階段がリビングにあることで階段用の壁や廊下を作らずに済むからです。住宅のあちこちに収納を増やすと設置コストが増えてしまいますので、必要な収納を絞ることも必要でしょう。
住宅機能の見直しもコストダウンに効果的です。せっかく注文住宅を作るのであれば最新の設備を入れたいという考えはとてもよくわかります。しかし、予算をオーバーしてしまうと支払いが大変です。最新式ではなくても十分に機能するのであれば、年式が古いものや素材ランクを下げた設備であっても検討したほうがよいでしょう。
昨今の傾向として太陽光発電の導入が盛んです。晴れの日数が多い岡山県ではとても魅力的な設備ですが、設置コストや更新コストを考えると導入は慎重に検討するべきです。
太陽光発電システムの導入費は150万円です。太陽光パネルの寿命は20〜30年とかなり長いですが、主要設備の一つであるパワーコンディショナーの寿命は10〜15年です。メンテナンスコストも十分に考えたうえで導入を決定したほうがよいでしょう。
住宅内の内装設備や照明を厳選したり、庭や外構にフェンスを設けないといった形でコストを削減することもできます。ただ、フェンスがないと自宅の敷地と外部を隔てるものがなくなるため、プライバシーの確保やセキュリティ面で不安が生じるかもしれません。家を建てる場所の環境に合わせてコストカットするべきか否か検討したほうがよいでしょう。
コストの抑えすぎに注意
先ほど、注文住宅のコストを抑える方法について解説してきましたが、あまりにコスト削減をしすぎると居心地の悪い家になってしまいます。
たとえば、断熱性能が低い家にして建築コストを削減できたとしても、かえってエアコン代などの光熱費がかかってしまいランニングコストが高い家になるかもしれません。住宅コストを削減する際は優先順位をつけ、生活の快適性を損なわないようにしましょう。
まとめ
今回は岡山県で注文住宅を建てる際の相場や注文住宅のコストを抑える方法などについて解説してきました。岡山市の中心部や倉敷市などで注文住宅を建てる場合は、全国平均と同じく約5,500万円の費用が掛かると考えたほうがよいでしょう。
建築費を抑えるには優先順位を付けたうえでコストダウンを図らなければなりません。デザインや住宅性能を抑えることである程度のコストダウンは可能でしょう。
ただし、コストダウンばかりこだわってしまうと建売住宅を購入するのと何ら変わらなくなってしまいます。住宅性能を低くしすぐれば居心地の悪い家になったり、ランニングコストがかかりすぎる住宅となるでしょう。そのくらいであれば十分に予算を用意して理想の家づくりをした方がよいかもしれません。