注文住宅で人気の収納であるウォークインクローゼット。広くて使いやすい空間は憧れですが、設計を間違えると使いにくくなることもあります。この記事では、ウォークインクローゼットの基本から形の種類、メリット・デメリット、そして失敗しない設計のポイントまで、わかりやすくご紹介します。
ウォークインクローゼットとは?
ウォークインクローゼットとは、その名のとおり「人が歩いて入れる収納」です。洋服をかけたり、バッグやスーツケースを置いたりと、まるで小さな部屋のように使えます。間取り図では「WIC」または「WCL」と書かれていることが多く、広さはおよそ1.5〜4畳ほど。2人以上で暮らす家庭では、衣類をまとめてしまえる便利なスペースとして人気です。
クローゼットとの違い
一般的なクローゼットは、奥行き50〜60cmほどで、人が中に入ることはできません。服をかけたりたたんだりするには十分ですが、収納量には限りがあります。
それに対してウォークインクローゼットは、人が中で動けるため「見ながら収納」「取り出しながら整理」ができるのが大きな違いです。
形のタイプはいろいろ
ウォークインクローゼットには、いくつかの形があります。
一列に収納を並べた「I型」はコンパクトで省スペース。通路をはさんで両側に収納を設けた「II型」は、収納力をぐっと高めたい人におすすめです。三面を囲む「コの字型」は大容量タイプで、家族全員の衣類をまとめてしまうこともできます。
スペースを上手に使いたいなら、角を活かした「L型」も人気です。
ウォークスルークローゼットとの違い
似た言葉で、ウォークスルークローゼット(WTC)があります。これは出入り口が2か所あり、通り抜けできるタイプの収納です。寝室と洗面室をつなぐように設けると、朝の身支度や帰宅後の着替えがスムーズになります。
ウォークインクローゼットのメリット・デメリット
ウォークインクローゼットは、広い収納スペースを自分好みに設計できるのは魅力ですが、使い方や間取りによっては不便に感じることもあります。ここでは、ウォークインクローゼットのメリットとデメリットをわかりやすく紹介します。
メリット1:着替えやコーディネートがしやすい
ウォークインクローゼットの最大の魅力は、その場で着替えができることです。鏡を置けば、服選びからコーディネートまでスムーズに完了します。忙しい朝でも、身支度の時間を短縮できるのは大きなメリットです。
メリット2:大きな荷物もまとめて収納できる
一般的なクローゼットでは入りきらないようなスーツケースや季節家電も、ウォークインクローゼットならすっきり収納できます。家の中に物が散らかりにくく、生活感を見せないすっきりとした空間を保てます。
メリット3:衣替えの手間がいらない
広さがあるため、季節ごとの洋服をすべて1か所にまとめて収納できます。奥の方にオフシーズンの服を置くだけで、衣替えをしなくてもよいのはうれしいポイントです。
デメリット1:広いスペースが必要
ウォークインクローゼットは、人が中を歩く通路がある分、一般的なクローゼットよりも多くのスペースを取ります。収納量は多いものの、物を置ける部分が減ることもあります。限られた敷地では、寝室やリビングの広さとのバランスをよく考える必要があります。
デメリット2:換気と明るさに注意が必要
ウォークインクローゼットは、部屋の奥や北側に作られることが多いため、湿気がこもりやすく暗くなりがちです。小さな窓や換気扇を設けてカビを防ぎ、LED照明をつけるなどの工夫が必要です。
デメリット3:使い方によっては無駄な空間に
収納する物が少ない人にとっては、広いウォークインクローゼットが持て余す空間になってしまうこともあります。使う目的を明確にし、必要な広さを見極めることが大切です。
注文住宅で失敗しないウォークインクローゼット設計のポイント
広い収納があれば、洋服や荷物をすっきり片付けられますが、設計の仕方を間違えると「使いづらい」「無駄なスペースになった」と後悔することも。ここでは、失敗しないためのポイントをわかりやすく紹介します。
設置場所が使いやすさのカギ
ウォークインクローゼットをどこに作るかで、暮らしやすさが大きく変わります。人気なのは、主寝室とつながったタイプ。起きてすぐ着替えられるため、朝の支度がスムーズです。
また、洗面室に隣接させると、帰宅後すぐに着替えられて便利。最近は、家族みんなで使えるように廊下から入れるファミリークローゼットを設ける人も増えています。
広さと形を考える
収納する物の量や使う人数に合わせて広さを決めましょう。目安は人数=畳数です。たとえば4人家族なら4畳ほどがちょうどよいでしょう。限られたスペースならL型、たっぷり収納したいならコの字型がおすすめです。
棚とパイプの配置で使いやすさアップ
ウォークインクローゼットの使いやすさは、棚やパイプの配置で決まります。丈の長いコートをかける場所、2段のハンガーパイプでシャツを収納する場所、バッグや小物を置く棚など、用途ごとに分けて設計するのがポイントです。可動棚を使えば、あとから高さを調整できて便利です。
換気と照明にも気を配る
収納内は湿気がこもりやすく、カビの原因になります。小さな窓や換気扇を設け、空気がこもらないようにしましょう。また、照明は天井の中央だけでなく、棚の上や足元に補助灯をつけると明るく見やすくなります。
まとめ
ウォークインクローゼットは、ただ広ければよいというものではありません。「誰が」「どのように」使うのかを明確にし、生活動線や収納量に合わせて設計することが、快適な空間づくりのポイントです。通気性や照明にも気を配り、必要な物を取り出しやすく整理できるように工夫すれば、毎日の支度や片付けがぐっとラクになります。注文住宅だからこそできる自由な設計で、家族の暮らしにぴったりの理想の収納を叶えましょう。